日本がん看護学会はたばこのない2020日本のプロジェクトに参加しています

がん看護のコンピテンシーについて

 一般社団法人 日本がん看護学会教育活動委員会では、日本におけるがん看護実践の発展と均てん化を図ることを目的として、がん看護実践にかかわるジェネラリストナースのための『がん看護のコンピテンシー』の作成に取り組んできました。がん看護のコンピテンシーとは、がん看護を効果的に実践する際に発揮される個人の持つ総合的な能力(技術、知識、思考、行動などを含む)を指します。
 がん看護のコンピテンシーの作成にあたり、はじめに教育活動委員会において、『がん看護コアカリキュラム2016』¹⁾の21項目と到達目標を基にしながら、がん医療の進歩やグローバル化などにともない現在求められているがん看護実践について吟味したうえで、がん看護に関わる看護職の基盤となる資質・能力について検討しました。この教育活動委員会で作成した草案について、理事会での検討、会員の皆様からパブリックコメントをいただき修正・洗練化しました。このようなプロセスを経て作成した『がん看護のコンピテンシー』は9項目からなり、各コンピテンシーには教育項目の例を示しています。
 今後は、がん看護の各コンピテンシーに到達するための目標の設定、および到達目標に必要な教育内容の抽出を行い、さらにe-learningによる教育コンテンツを順次作成していく計画です。会員の皆様の教育や学習にご活用いただき、ご意見を伺いながら継続的に改善していきたいと考えています。

【文献】
1) 一般社団法人日本がん看護学会 教育・研究活動委員会コアカリキュラムワーキンググループ:
がん看護コアカリキュラム2016(2024年8月10日確認) https://jscn.or.jp/core/doc/core_2016e.pdf

一般社団法人 日本がん看護学会
理事長 鈴木 久美
一般社団法人 日本がん看護学会 教育活動委員会(2023~2024年)
委員長 渡邊 知映 副委員長 松原 康美
委員 井関 千裕、入江 佳子、塩澤 綾、中村 喜美子、本間 織重、吉田 詩織


2024年8月16日

がん看護のコンピテンシー

がん看護のコンピテンシーとは、がん看護を効果的に行う際に発揮される個人の持つ総合的な能力(技術、知識、思考、行動などを含む)をいう。
各項目の下段は、がん看護コアカリキュラム2016等を参考にした教育項目の例。

一般社団法人 日本がん看護学会
2024年7月1日

1がん患者・家族および医療従事者を取り巻く課題およびがん医療の動向を理解し、実践にいかす基礎的能力

がんの特性, がん医療と薬理, がんゲノム, 家族性腫瘍, 遺伝性腫瘍, 臨床試験, がんの医療政策, がん医療におけるDTやICT(情報通信技術)を活用した医療など

2がん治療および有害事象を理解し、安全な治療環境を整える能力

がん手術療法看護, がん薬物療法看護, がん放射線療法看護, 免疫療法看護, がん患者と栄養, がん患者とセルフケア, 造血幹細胞移植など

3がんの病状に応じた患者の心身の症状をアセスメントし、症状緩和を実践する能力

がん患者とセルフケア, がんリハビリテーション看護, がん患者の症状マネジメント, がん患者のエンドオブライフケア, がん患者と緩和ケア, がん患者へのサポーティブケアなど

4がん患者および家族を包括的に理解し、がんとの共生における多様なニーズに応じて支援する能力

がん患者と社会,がん患者とQOL, がん患者とコミュニケーション, がん患者の家族支援, がん患者の喪失と危機, がん患者の在宅支援, ライフステージに応じた療養環境への支援(高齢者・AYA世代), 就労支援, セルフヘルプグループ, ピアサポート, がんと生殖医療, がん患者ナビゲーションなど

5がん患者へのチームアプローチにおいて看護専門職として実践する能力

がん患者とチームアプローチ,多職種連携, 保健医療福祉連携システムなど

6がん患者・家族および医療従事者をアドボケイトし、倫理的課題に対応する能力

がん医療と看護倫理,がん患者の家族支援, 倫理的感受性, 倫理調整, 意思決定支援など

7がん患者のヘルスプロモーションに必要な援助を提供する能力

がん患者とQOL, がんサバイバーシップ, がん患者とヘルスプロモーション, がんの1次・2次予防など

8がん看護の専門職としてスキルアップと役割開発のための自己研鑽および自己啓発する能力

キャリア開発など

※ DT;Digital Transformation
ICT;Information and CommunicationTechnology